準大賞
コンセプト
皮膚を超える皮膚
概 要
ファインファイバー技術は、専用のポリマー溶液を小型の専用装置から肌に直接吐出し、肌表面に直径1ミクロン以下の極細繊維からなる積層型極薄膜を形成する技術です。液状の製剤(乳液など)と組みあわせると、膜は透明になり、ぴったり密着してまるでついていないかのように肌と一体化します。
ファインファイバー膜と化粧品を組み合わせると、その化粧膜の均一性や持続性が高まります。一般的な化粧品(スキンケア、メイク)は、ミクロなレベルで見ると、塗りムラができたり、こすれると取れてしまうといった限界がありますが、ファインファイバー膜と化粧品を組み合わせると、この課題解決につながり、化粧品の機能が向上すると考えます。
ファインファイバー膜は、極細繊維が折り重なった構造のためほとんどが隙間です。そのため、空気も水蒸気も通し、肌を閉塞しません。さらに液状の製剤を組み合わせると、「膜」の透湿度は角層に近いレベルとなり、肌表面を適度な水分環境に整えます。夜に2週間、ファインファイバーと液状の製剤を組み合わせた膜を塗布し朝にはがすという条件で、肌への効果を検証した研究では、角層水分量、見た目のツヤ、明るさが向上したほか、角層の状態を整える働きのある複数のタンパク質の発現が増加することも確認しました。肌表面を適度な透湿性の膜で覆うことで、肌によい影響がある可能性を示していると考えられます。
この技術を応用した高性能小型ディフューザーと化粧品を、12月から発売します。将来的には、医療・治療領域での活用も視野に入れてさらなる研究・技術開発を行なっていきます。
審査ポイント
化粧品製造技術とファイバー製造技術・原材料製造技術の巧みな組み合わせにより実現されたこの技術は、スキンケアの市場を塗り替える可能性を秘めた大型の基礎技術であり、類似技術と比較しての優位性があると評価できる。化粧品領域だけでなく、多様な製品に展開できる可能性があり、今後も楽しみである。